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勝手放言(その6) 税理士以外の業者に税務を任せてはいけません?! 

「税理士業務は税理士にしかできません」別にそういう事を言いいたのではありません。実際業法上では、税務 代理・税務書

類の作成・税務相談については、有償無償にかかわらず税理士、弁護士、税理士登録した公認会計 士などしか行うことがで

きないことになっています。 (当然ながら罰則も設けられています。税理士法第59条 : 2年以下の懲役又は百万円以下の罰金)

 

「税理士にしかできない、結局それが言いたいんじゃ。」いいえ、本質は違います。稀になんですが、記帳代行業者やコンサル

会社で「税理士は税金のことしか分からないからトータルなサービスは税理士でない我々にしかできない。」という理屈

営業・勧誘されている業者さんがいます。 私には「無免許だからこそ、F1でもジャンボジェッ ト機でもそれから豪華客船でも何で操縦できるんだ!」そう言っているように聞こえます。「税理士資格が無い から企業を多面的に見られる。」それは論理的に間違っています。多面的に見る能力があるからから、多面的なサ ービスを提供できる体制があるから、本来できるのであって。

 程度の低い話ですが、税理士登録しているという ことは、能力的な部分はともかく?、少なくとも「責任」については法的に明

確になります。(税理士に限らず免 許保持者には、通常の注意義務よりも責任の範囲が広いいわゆる”高度注意義務”と呼ば

れる義務が課せられて います。)過失により納税者に損害を与えた場合、裁判所は専門家たる税理士に賠償責任を厳しく認

定します。

 

「責任という意味じゃ、無免許であっても同じじゃ?」 はい、道義的にはそうですけど・・・。

 

でも考えていただきたいのですが、例えば脳外科の手 術を医師免許のない人に依頼しました。そして無免許で あることも予め

知っていました。で、手術が失敗して後 遺症が残りました。損害を賠償せよ、と裁判所に訴えて も「何故、あなたはわざわざ無

免許の人にそのような手術を依頼したのですか?損害を被る危険性を認識したう えで敢えて依頼されたのですか?」無免許と

知っていながら依頼したのであれば、当然過失相殺されるのではな いでしょうか。

 

「税理士にだって程度の低いヤツはいる。」それも否定はしません。重大なミスや、さらには罪を犯す公的資格 者も全くいない

訳ではありません。ただ、それを根拠に「無免許でいい」というのはこれまた異常な論理です。

「運転免許を持っている人間でもひき逃げ事件を起こす、だから無免許でも関係ない。」・・・無茶ですね。

「技術(能力)があればそれでいい。重要なのは技術だ。」・・・そんなのは常識で、言うまでもないことなんです。

規制緩和、自己責任の世の中ですから選択肢が増える こと自体は良いことだと思います。ただ一方で、仕事を依頼する相手

の業者の能力(技術力、誠実性、賠償能力等)を分析し、リスク評価を行うことも要求されます。 (判断については、専門的で

難しい面もありますが) 賢明な皆さんには、もっともらしく語られる「無免許 優位論」について自然な違和感を抱いていただき

たいの です。あと10倍ぐらい思うところがあるのですが、皆さ んにはしっかり趣旨をご理解いただけたと思いますので この辺

でやめておきます。

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